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2013年11月18日 (月)

TPPの年内妥結を急ぐアメリカ政府の裏事情

シリア内戦の問題処理で能力不足を露呈したバラク・オバマ米大統領は苦しい立場に追い込まれている。08年のリーマンショック後、アメリカは大規模な金融緩和を繰り返してきたが、かかったコストに比較し効果が上回っているとは思えない。その証拠に10月1日から始まった新しい会計年度から連邦政府の支出の強制行削減を行わざるを得なかったのだから。
その結果、政府の一部機関は閉鎖され、連邦政府職員も自宅待機を余儀なくされた。閉塞感に溢れているアメリカ政府は、TPPの交渉を年内で終わらせ、何とか成果を上げたいのである。
そうしたアメリカ政府の都合でアメリカ政府は、日本に対してこのほどTPP交渉の中で関税の完全撤廃を求めてきたことが明らかになった。TPP交渉は究極的には完全な関税撤廃を実現するためのものであるからアメリカ政府は至極当然な要求を突きつけてきただけで、何ら驚くことはないのだ。日本政府は重要5品目の聖域(関税)は守ると選挙公約に掲げてきたので、マスコミが騒ぎ立てているにすぎない。
【朝日新聞デジタル】はアメリカ政府の要求内容について11月17日早朝、『環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で、米国が日本にすべての輸入品の関税をなくすよう求めていることが分かった。日本が例外扱いを求めているコメなどの農産品「重要5項目」も、20年以上の猶予期間をつくるなどして撤廃するよう要求。米国の想定外の強硬姿勢に日本政府は反発を強めており、年内妥結は不透明さを増している。
日本はこれまで、コメと麦、砂糖、牛・豚肉、乳製品の重要5項目を関税撤廃の対象外とし、関税をなくす品目数の割合(貿易自由化率)は最大89%前後とすることを提案。さらに「聖域」を絞り込み、自由化率の引き上げも検討中だ。
米国とは、2月の首脳会談で「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品といったセンシティビティー(重要項目)があることを認識する」ことで合意。一定割合の品目については関税を維持できる、とみて交渉を進めてきた。
]しかし交渉関係者によると、米通商代表部(USTR)のフロマン代表は10月下旬、甘利明TPP担当相との電話協議で、全輸入品の関税撤廃を要求。甘利氏は「重要5項目は政権の命運にかかわる」などと応じて拒否したが、米国側はその後も、一部の品目について20年以上の猶予期間を認める考えを示唆しながら、全輸入品の関税撤廃を求め続けているという』と配信している。
アメリカ側が過去の日米貿易交渉で強硬姿勢を貫いたのは、アメリカ側の交渉関係者は政治任用の官僚なので大統領が交代すると失業することになり、それを避けるためには交渉で成果を出し、それによって新大統領の下でも職を得ようとする就活のためのパフォーマンスなのだ。
一方、日本の交渉を担当しているキャリア官僚はたとえ事務次官争という出世争いに敗れても就職先に事欠かない。そのために息の長い交渉に耐えられrるのだ。
アメリカ側は政治任用の官僚の上述した個人的な欲望と来年には任期2年の下院議員選挙が実施されるという2つの事情が重なりアメリカ国内向けに恒例の強気の姿勢をアピールしているというよう。
アメリカ政府は日本の【重要5項目】の関税撤廃には20年前後の猶予期間を設けると提案しているらしいが、20年後などというのは名目だけでも年内に交渉が妥結した形を整えたいアメリカ政府の焦りの表れである。猶予期間が20年設けられたならば日本側の要求は通ったことを意味する。20年後のことは神のみぞ知るからだ。   (おわり)

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