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2013年10月28日 (月)

米の減反政策を見直す時期が到来した。

TPP(環太平洋経済連携協定)の年内締結に向けて交渉の基本となる2国間協議が進んでいる。昨年の衆院選と今年7月の参院選の公約に政権与党の自民党は農産品の重要5項目(米、小麦、砂糖、乳製品,豚肉・牛肉)の関税を維持すると言うことを【聖域は守る】】という表現で公約に掲げていた。本音はともかく表面的には農業団体の抵抗が激しく、自民党は【重要5項目の関税も撤廃する】ことを視野に入れてTPP交渉に臨むとは口が裂けても言えなかったのであろう。最も強硬な反対運動を展開しているJA中央(農協中央会)はじめ、各種農業団体も世界の趨勢が自由貿易に向かっている中で反対を貫き通せないことは重々理解している。各種補助金の獲得のために反対を唱え政策の特徴は、戦後、主食である米の生産に偏重しすぎていた。食糧管理制度によって農家が生産した米は全量政府が一定価格で買い取るという制度であるために農家は米作りに邁進していた時期があった。
確実に利益が上がったからである。そのために米の生産額は年々上昇し、1967(昭和42年)年のピーク時の生産量は1446万トンに達している。一方、国民1人当りの米の消費量は1960年(昭和35年)の118,3キログラムをピークとして2012年(平成24年)の56,3キログラムにまで落ち込んだ。最盛期の消費の約半分である。
つまり需要より供給が上回る状態が昭和40年代初頭から発生し、それを解消するために食管制度の廃止、さらにその後、減反(生産調整)制度が創設されている。この制度は、米の生産をやめる代わりに水田10アール(1000㎡)当り1万5000円の補助金が支払われる仕組みである。現在、減反政策の恩恵を受けて、耕作をしていない水田は40万ヘクタールであるが全国の耕作地が現在247万ヘクタールであるから、実に16%の耕作地が放棄されている。
こんな状況下なのに農水省は食料の自給率を上げるなどと嘯いていたのである。一方では農作物を作れと奨励し、他方で耕作しない農地を増やしていては食料自給率が下がることはあっても、上がることはない。
このような矛盾した政策を転換する好機がTPP交渉参加によってもたらされようとしている。政策転換の国民への告知の口火を切ったのは自民党の石破茂幹事長である。石破氏は農水大臣を経験し、本県2区選出のTPP対策委員長の西川公也氏と農政通の双璧と目されている。
10月19日大分県・別府市で開かれた「農水産業・地域活力創造本部」の政策説明会での減反政策に関する石破氏の発言を朝日新聞電子版【朝日デジタル】は19日夜、『農地の面積がどれだけ維持され、農業人口の構成が続くか、農業技術が伝承されるか、品質が保たれるかが重要だ。日本のコメは反収(10アール当たりのコメ生産量)が米カリフォルニアより低い。生産調整のせいだ。何かがおかしい。どうやったらコストダウンがはかれるかを考えないといけない。農地を守るためにどうするかという議論をしていく。農地法は戦後、(農地が足りず)いかに農地を小さくしていくかを主眼としてできた。耕作放棄地になっている今の状況で、農地法は今のままでいいのか。JA(農協)の今後のあり方を0含め、虚心に議論させていただきたい』と配信している。
この石破発言を契機に自民党及び政府内部で『減反政策見直し論』が噴出し、10月25日午後、【NHKニュースウェブ】は『林芳正農水大臣は閣議後の記者会見で、「農家みずからの判断で需要に応じた生産ができるように改革を進めていきたい」と述べ、減反政策の見直しに関連する法案を、来年の通常国会に提出することを念頭に、今後、検討を進める考えを示しました』と報じている。
石破発言から6日後に担当の農水大臣が【減反政策見直し】の関連法案の提出にまで言及しているのは農業団体関係者はじめ自民党・政府内部の根回しが完了していることを如実に語っている。前述したように農業団体のTPP反対はパフォーマンスであり、補助金の釣上げ闘争の一環と言うことであろう。   (おわり)


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