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2013年10月 8日 (火)

日本政府はTPP交渉の【聖域】解除を決断するのか

TPP(環太平洋経済連携協定)閣僚会合が開かれているインドネシアのバリ島を訪れている自民党のTPP対策委員長で、本県2区選出の西川公也衆院議員は10月6日、バリ島で記者団に対し、「(重要5品目の)関税維持の分野から抜けるか抜けないかの(品目ごとの)検討はさせてもらわないといけない」と語っている。さらに、「これまでの貿易自由化交渉の中で農林水産業を守る対策を打ったが、今回も打つのか検討したい」と述べた。
【重要品目】とはWTO交渉の中で、「センシティブ品目」と呼ばれ、各国の農業にとって重要であり、関税撤廃などによって輸入が急増すると地域経済や食料の安定供給に大きな影響が出る可能性のある品目のことである。日本では【コメ、麦、砂糖、乳製品、豚肉・牛肉】がこれに該当する。
また熱量や栄養摂取量の観点から見ると、日本人は熱量(カロリー)の23,6%をコメから、13,4%を麦から、8,1%を砂糖から、6,2%はバターなどの乳製品から摂取している。さらに、重要な栄養素の一つ【タンパク質】の17,5%は豚肉・牛肉から摂取していて、これらの農産品は日本人の食生活に欠かせないがゆえに【重要品目】なのである.。
【重要5品目】を食の安全性や安定供給という観点から保護するため日本政府は高率の関税を課してきた。因みにその税率は、『【コメ】(1キログラム当り341円)関税率778%、【小麦】(55円)関税率252%、【大麦】(39円)関税率256%、【バター】(1キログラム当り985)関税率360%、【砂糖】(103,1円)関税率328%、【豚肉】(103,1円)関税率4,3%、【牛肉】(103,1円)関税率38,5%』となっている。
ところで、JAなどの農業団体はTPPにより廉価な農産物が輸入され、日本の農業が壊滅的な影響を受けると喧伝するが、そのような事態が起こる可能性は極めて低い。
【コメ】を例に取れば分かり易い。TPP交渉に参加している国は日本を除けば、11カ国で、そのうちコメを輸出する国はベトナムとアメリカである。ベトナムで栽培されているコメはインディカ種といって日本人が主食用に食べられる代物ではない。その証拠に味噌などの材料か被災地の救援物資として利用されている。
アメリカ産のカリフォルニア米は日本人が主食用に食べているジャポニカ種で味も日本産の米と遜色ないと言われているが日本市場が混乱するほど大量に輸入されることはない。最大の脅威である中国はTPPに参加しないので中国産の米には当然のことながら778%という超高率の関税が従来どおり課される。さらに中国は昨年の後半から農産品の輸出国から輸入国に転じた。当然のことながら中国産の安い米の輸入量は減少することになる。
【TPP】の目指すところは関税の撤廃であり、アメリカが日本に要求している市場開放率(関税自由化率)は90%台後半と言われている。日本の市場開放率の現状は80~90%である。日本政府は交渉参加を決めた時点で【重要5品目】の関税撤廃を視野に入れていたであろう。農業関係者が騒ぎ立てるほど市場を開放しても日本は打撃を被らないからだ。
関税自由化によって被害を受ける農業分野は対策を講じればいい。自由化によって食料品の値段が下がれば消費税率の引き上げ分は吸収され、景気の腰折れ対策にもなる。   (おわり)

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