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2013年3月 2日 (土)

安倍首相事実上のTPP交渉参加を表明

安倍首相は2月28日、施政方針演説を行ったが、その第3項目の【経済成長を成し遂げる意志と勇気】の中で、『TPPについては、「聖域なき関税撤廃」は前提でないことを先般、オバマ大統領と直接会談し、確かめもいたしました。今後、政府の責任において交渉参加について判断いたします』と述べている。                        この内容をマスコミの一部は事実上の交渉参加表明と受け止めている。党内調整を済ませ、さらに公明党の了解を取り付けた上で、安倍首相は3月中には正式な「交渉参加」表明を行うと思われる。                          安倍首相が【TPP交渉参加】を決断した場合の対応について、自民党の派閥の領袖の見解を【NHKニュースウェブ】は28日夜、『自民党の各派の会合で、TPP=環太平洋パートナーーシップ協定について、安倍総理大臣が交渉参加を決断した場合には党として支えるべきという意見や政府に対し党内の意見を交渉に反映させるよう求めていくべきだという意見が出されました。                          安倍政権はTPPについて、先の日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になったとして、来月前半にも交渉参加を決断する方向で調整しています。                          これについて額賀元財務大臣は、28日の会合で、「安倍総理大臣には、TPPに参加した場合にどのようなメリットとデメリットがあるかを検討し、本当の国益に沿った判断をしてもらいたい。党内にいろいろな意見もあるが、安倍総理大臣が交渉参加を決断した場合は、党としてしっかり支えなければならない」と述べました。                          一方、町村元官房長官は「外交は内閣の先見事項だが、われわれは先の衆議院選挙で掲げた政権公約があるので、政府に対して、言うべきことは言わなければならない。きのう党の合同会議が政府に対する要求を決議し、厳しい球を安倍総理大臣に渡したことはよかった」と述べました。                           また、大島前副総裁は「安倍総理大臣が頑張ってアメリカ側から【聖域ありの交渉だ】という言質を取ったが、何事にも光の部分と陰の部分がある。自民党は野党のときに、民主党政権に対して「国民への説明責任を果たしていない」と批判してきた。政府は、節目、節目で党内や国民に説明し、理解を求めていくべきだ」と述べました』と報じている。                          【TPP交渉参加】に今のところ真っ向から反対しているのはJA(農協)だけである。かつて農業従事者が人口の10%を超えていた時代は自民党の最大の圧力団体であったが、
今や農業を主たる収入源とする農業従事者は人口の約2,2%、265万人程度である。圧力団体としての面影はもはや失われている。                           農水省はこれまで自民党農林族議員、農水省、農協のトライアングルで日本の農業を保護してきた。【食料自給率】という日本だけが使用している概念によって国民の危機感を煽って農産物に信じられないような高い関税をかけて農協を保護してきたのだ。                           【自給率】の計算方式には重量ベースとカロリーベース2種類あるが、日本だけがカロリーベースで計算し、他の国の自給率は重量ベースで計算している。計算しているのは日本の農水省であって当該国の専門機関が計算したものではない。しかも計算の基礎になる資料も日本の農水省が貿易統計などを基にした農水省の推測値である。日本の自給率は諸外国と同じように重量ベースで計算すれば65%台であるという。この値はイギリスやイタリアに匹敵してそれほど低い数値ではない。                          ところで、日本の農業を守ってきたのは関税である。日本の農産品のなかで主な関税率の高いもの(200%を超える)を挙げると、【米】(精米 778%、玄米 568%)、【小麦 252%】、【大麦 256%】、【バター 360%】、【粗糖 305%】、【小豆 403%】となる。日本の農産品776品目の中で9,4%の農産品の関税が100%を超えている。                          日本の農業は関税障壁で守られ過ぎたために産業に進化することなく、後継者不足となり、農業自体の存在理由さえ失われようとしている。日本の農業は国際的な競争に1度晒されるべきなのだ。そしてどうしても競争に耐えられない農産品は補助金などで保護すればいい。                          安倍首相は【攻めの農業】という表現を用いている以上、丁寧な手続きを踏んだ上で、【TPP交渉参加】に舵を切るであろう。   (おわり)


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